黄色いヴェスト

カルロス ゴーンの件も話題にのぼらないほど、フランスはここ数週間”黄色いヴェスト”一色です。最初はガソリン税の値上げ反対で、車無しでは生活できない田舎在住の人達が車に携帯義務のある、黄色い蛍光塗料のヴェストを着て国道や村の辻に集まって値上げ反対を訴えていました。退職者や無職の人達が多いので、こりゃ長引くなと思っていたのですが、それが、だんだんと極右翼、極左翼達が便乗し暴力的になり、そこに、人生ろくでもないと夢も希望もない郊外の不良たちが、ここぞとばかりに合流し商店を破壊し商品を略奪するという愚の骨頂をしでかしました。石畳をはがしたり、車を燃やしたり、ウインドーを叩き割っている彼らの姿は、ど頭にきて暴れているゴリラのほうがよっぽど品があるわと言った有様でした。つくづく思うに、そういうことをするのは100%男なんだなぁ。
デモ熱はどんどん広がって、高校生や大学生、救急隊、反ラシズム、エコロジストと本来の黄色いヴェストのスローガンと違う団体までが乗り出してきています。
今朝、明日に予定されている4回目のデモに備えてパリ市からメールが届きました。エッフェル塔を始め、ほとんどの美術館やモニュメントはクローズします。デパートは今現在は迷っているようです。そりゃそうです、クリスマス前の週末に閉めるのは大変な損害です。イヴェント、コンサートも中止又は延期となったところも出ました。これは万が一の場合の保険の問題なのでしょうかね。
テレヴィは黄色いヴェストの事ばかり、コメンテーターを迎えての討論会など、全員が一斉にしゃべくりまくり、司会者も負けじと声も高々に抑えようとするので、なんだかさっぱり分からない混沌の極みです。ワオー肉食人種!と痛感します。
確かにフランスは世界でも最も税金の高い国の一つです。それでも、公立の幼稚園から大学まで授業料は無料です。癌、膠原病など長引く病の治療は無料です。世界中から人が集まる様な市立や国立の美術館がこんなに充実しているんです。国籍に関係なく学生は住宅手当がもらえます。これで留学生達がどんだけ助かっていることか。子供が出来れば自動的に援助が出ます。フランスでは何かあってもなんとか生きていけると私は信じています。
明日に備え、パリだけで先週の約2倍の8000人の治安部隊がパリを守ります。特別装甲車も出陣の用意がされました。
と、書いた所でアラいけないと,空の冷蔵庫を見て慌てて買い物に出ましたところ、家の隣のホテルも近くの保険会社も銀行も板を張ってがっちり防御万端です。
かと思えば、パリ市の忠告も屁の河童で、来るなら来い、受けて立ってやる!といつも通りの営業を通すという構えのお店やレストランも多くあります。絶対的に狙われる場所の絶対的に狙われる物を売ってるブティックが、”店は閉ません、我々が守ります!”と断固屈しないという、右に倣えができない正しくフランス人気質があちらこちらに現れて面白い。
 
あまりにも速いテクノロジーの進歩に追いつくことが経済的にも能力的にもできないと、どんどんおいてかれて貧富の差が益々大きくなるのでしょうね。その置いてけぼりにされた人達の鬱憤があっちこっちから噴火したということでしょう。
あ~電気も車もご法度なアーミッシュになりたい!と願う人はきっと私だけではないでしょうね。