ジャン ジャック エネーさん、19世紀のあんまり知られていない画家ですが、彼の素敵な美術館があるんです。
場所はパリ17区、モンソー公園も近い瀟洒な住宅街です。ちゃらちゃらしたお店が無い為か、がっちり閉まった門構えが並んで、近寄りがたい雰囲気。友達でも住んでいない限り行く所ではありません。
そんな一角にある丸ごとの一軒家。元はGuillaume DUBUFE という、両親もおじいちゃんも誰も彼もが芸術家という家柄の画家の住まいとアトリエだった建物です。
エネーが亡くなって、エネーの遺族がその建物を買取、1925年にエネー美術館としました。
もちろんエネーの絵を展示している訳ですが、彼の絵は宗教画です。それもキリストが死んだ!がテーマです。もう暗いのなんのって。なので、彼の絵は置いといて、是非見ていただきたいのは内装です。
1878年に建てられた建物。色々な年代と国の文化、様式が混ざっています。
一番のチャームポイントは、アラブの国でよく見られる、すかし模様の窓、ムシャラビが室内にあって、ぐっと良い感じを出しています。このムシャラビは風通しとしても良いのですが、外に自由に出られないイスラム圏の女性が、向こうから見られずに外や、家に来た人を見ることができるという賢い役目も果たしています。
ネオルネッサンスの天井、ドーリア式の柱、中国風暖炉などぐちゃぐちゃと見事に相容れています。
最上階はアトリエですが、最近改装工事をして、面白くもへったくれもない事になりましたが、居心地は抜群で、昼寝でもして行きたい感じです。
ここで、コンサートやコンフェランスなども開かれます。
プルーストの本に出てくるようなお屋敷街を歩いていて、いったい中はどんな事になっているんだろうという好奇心をきっとこの美術館は満たしてくれます。それ以上に19世紀のリッチな芸術家のセンスが見られる珍しい美術館です。
なのに何故いつも空いているんだか分かりません。
MUSEE HENNER
43 AVENUE DE VILLIERS
75017 PARIS