道で、知り合いが出てくるのをぼっと待っていました。すると観光客らしきイタリアンガールズが壁に向かって写真を撮っています。なんだ?と壁を見てみると能書きのプレートが付いています。
『ここにピカソがアトリエを構え、《ゲルニカ》を作製、そしてバルザックの《知られざる傑作》の中で使われた住所。』と書いてあります。
そやそや!とそれまでぼんやりしていた頭はきりりと動き始めました。
よく通る道はワーグナーが住んでいようが、マチスが住んでいようが、いちいち感動なく通り過ぎ、思い出しもしません。
そんな扱いを私から受けていた1つである、このパリ6区のデ グラン オーギュスタン通り7番地の立派な建物には、中々面白いストリーがあります。
バルザックの小説《知られざる傑作》は、未だ無名だった若きニコラ プーサンやポルビュスなど実存する画家が登場します。そんな芸術小説なのでピカソに本の押絵を描くようにある画廊が薦めました。さっそく本を読んでみたピカソは、作中に登場する大画伯フレノフェーにすっかり魅了され、自分を重ねて、本気になって、とうとう小説の中の彼のアトリエの住所だった、ここデ グラン オーギュスタン通りに引っ越してしまいました。なんとも熱い人です。そしてここでゲルニカを描いたわけです。
色々な本で、ピカソに会いに、デ グラン オーギュスタン通りのアトリエに行った。とか行く。という部分に出くわしますが、それはここです。
それにしても豪華メンバーです。ピカソとバルザックとは。と感心していたのですが、はて待てよ。バルザック???っていう反応をする若い方はかなり居るかしら?
バルザックの友達、ヴィクトル ユゴーのヴォージュ広場にある家をご案内しても、だれっすかそれ?というお返事はまま受けましたし。。。アレキサンドル デュマも仲良しなんだけどな。。。。 彼らは日本の学校では教える必要なし!のカテゴリーに入っているのでしょうか。
バルザックは親しみ深い人物です。大喰らいで大浪費家で借金まみれ、大女ったらしで、それも年増女好き。
ここはバルザックが自分の母親の如く一番愛したロール ドゥ ベルニー婦人のお墓です。バルザックが純愛すると記されています。小説《谷間のゆり》の主人公に彼女は登場します。
かわいそうに、今ではペンペン草が生えてるような村の駐車場になっています。
パリ16区のバルザックの家も見学できますので、ご興味のいある方は是非訪問してみて下さい。