パリで一番古いパン屋さんがとうとう廃業しました。リシュルュー通り51番地。ラーメン屋や定食屋が集まる日本地区又の名はオペラ地区です。
かれこれ200年以上同じ家族で続けていたパン屋さん。キフキフパリでも何度かお客様をバゲット作りの見学にお連れしました。お店はもうちょっと何とかなんないのと思うような、田舎くさい、洒落っ気一つ無い、美味しそうでもなんでもない面構えです。せっかくパリ最古というのにもったいないなといつも思っていました。
最後にパンを焼いていたのは1970年から後を継いだ66歳のクロードさんです。
毎日200本のバゲットを焼いても、上がる一方の家賃が払えなくなった為ギブアップ。自分の代で家族の歴史、パリのパン屋の歴史を終わらせてしまった事を大変心苦しく思ってるそうです。アパートの家賃だって『泥棒ーっ 人でなしーっ』て叫ぶような値上がり様なので当然店舗の家賃だって上がります。年間35,000ユーローの家賃だそうです。クロードさんは立ち退き料として、310,000ユーロー貰ったそうです。まぁもう引退していい年だし、かなり太っているので立ち仕事もしんどそうでしたので彼としてはよかったんではないかとは思いますが。娘達もパン屋に嫁いだとか言ってたから、家族でもう少し気張ってパリのパン屋の歴史を続けていてくれたらよかったのにとも思います。
クロードさんの冴えないパン屋をおん出して、次はオサレなマカロン屋が2年契約で間髪入れず入りました。
クロードさん、『ケッ!マカロンなんて上手く行く訳ないさね、全くね~。70年代まではこの道にゃぁ、パン屋が3件、肉屋が3件、総菜屋が2件、八百屋が数件あったんだけどね、今じゃ見てみ~ぃ、サンドイッチ屋とすし屋しかねーじゃねーか、ここももう終わりだね』としみじみしていました。
私としては、ひえ~こんな澄ました感じの所にそんな商店があったんだとビックリです。リシュリュー通りと言えば、フランス国立図書館が58番地にあって、40番地はモリエールが最後に住んだ所だし、パレロワイヤルや証券所も近いという立地です。
クロードさんが焼いたバゲット。ワー美味しい!というわけではありません。
うちの近所の道もしょっちゅうお店が変わる通りがあります。必ずどっかしらで店舗工事をしています。この道は儲からないんだなと思っていたんですが、1年とか2年契約で勝負して採算合わなかったらとっとと出て行くというシステムなんですね。
香港、ニューヨークに続いて世界で3番目に土地が高いシャンゼリゼ通りに大きく構えるヴァージン メガストアーも撤退しそうです。2012年に30%以上も家賃が値上がったそうです。次の候補は有名ファッションメーカーとか、エゲレスのハロッズなんかも興味を示しているようです。
もう何処の国のメインストリートを歩いても同じ店が並んでいるという事です。あーつまんない。