素敵な日本食

最近では日本でも歯科矯正は一般的になって、あの人間離れした八重歯をかわいいなんて言う人はさすがにいなくなったことだと思います。
私の世代の日本ではクラスに2~3人位しかブリッジをはめている子がいなかったので、歯の事を考える風潮が薄く私など今でもしょもない状態をキープしています。
いつだったか整体に行ったら片足で立てないあたしに、整体師がイーして歯を見せてと言うので、イヤです。ときっぱりお断りしたぐらいです。
そんなコンプレックスがあるので、うちの子には小さい時から『矯正しなくて良いの?』『もうそろそろ始めた方が良いんじゃないの?』とコントロールの為に連れて行く歯医者に会う度催促して、『お母さんこの子まだ乳歯も全部生え揃っていませんよ』なんてなだめすかされていました。
なんとも頭も体も成長が遅い息子も1年前からやっと矯正が始まりました。まぁーこれが厄介だこと。
月に一度ブリッジを締めに行く度、恐ろしいほどに機嫌が悪くなります。
痛くて勉強も出来ないと自分のアホを正当化します。
ご飯も老人食か赤ん坊食です。
最初の頃は今日矯正歯科医へ行くんだから、と野菜のマッシュやスープやコンポートやらスペシャルメニューを作りそりゃ気を使っていたんです。が、そのうち気も緩んで案の定忘れてしまい、時間が無いからと焼くだけで出来るステーキに帰りに買ってくるだけでいいバゲットなんてを夕食に出して、えらい怒られたりしました。
この矯正スペシャルメニューを3~4日毎月作らなければならないので、いい加減マッシュポテトやラタトゥイユばかりでは作る方も飽きてきます。
そこで遅ればせながら登場したのが日本食。
1日目はおかゆ、と言ってもリゾットになっちゃうんですが。そしてお結びを食べられるようになればもう普通の食事ができる印。
硬さをグラデーションできるなんてご飯は本当に素晴らしい!
お豆腐のヴァリエーションも尽きることなくあり重宝しています。
何でもお箸でつまんで食べられる日本食は噛む必要も無いぐらい柔らかく出来上がっています。
ナイフでテーブルをグラグラさせながら切らなくてはならない物を食べている欧米人とは、なるほど顎の線が違う訳だ。
日本で繊細で柔らかくて無臭のお肉を食べると、自国の肉の旨みを味わいながら噛み砕く血が滲むステーキに思いをはせホームシックになるフランス人を沢山知っています。
柔らければ柔らかいほど上等なような日本のパンは感動ものですが、食べたんだか落っことしちゃったんだかしゃきっとしません。
バゲットなんて本当に口が切れますからね。
矯正スペシャルメニューを作ってつくづく日本食の優しさ、穏やかさを見直しました。
食べている物で人の出来に影響を及ぼすんでしょうね。
がさつ、力持ち、大きな体力、高い体温(日本人と1度は違うと思います)激しい感情など日本人から見たら、あれはどーして?と首を傾げる彼らの成り立ちもこのような理由があるんだと納得する事にしています。
最近テレヴィでキッコーマン醤油のコマーシャルが流れています。フランス人もうどんすすって、牛丼なんかかっこんでたら、2世代目ぐらいから穏やか、繊細フランス人が出来上がるのかしら。
ところで、息子の矯正歯科医、話せば長くなるので控えますが、これまたとんでもなくって来月から変える事にしました。医者、特に専門医って長~く勉強し過ぎて変になるんでしょうかね。