死ぬかと思った!

事の始まりは吐き気です。何度も吐いたのですが、吐くなんてよくある事なので、食べすぎかしらと様子を見ていたんです。
翌日はなんとなく収まった感じなのですが、あまり気分はすぐれない感じ。寝て一日過ごしていました。
その次の日又吐き始めました。足もふらついてきています。こりゃあただ事ではないと直ぐ行きつけのクリニックへ電話したのですが、そうだそうだ今日は土曜日、お休みです。緊急連絡先に電話し、状態を説明すると至急ドクターを家へ向かわせるという慌しい展開になりました。『至急』というのが、フランス式至急で、待つこと2時間。もうヤキモキしながら今か今かと待っている時に限って、野暮な電話がじゃんじゃんかかって来ます。
消防士のような大荷物を持ったドクターがやっと到着。来るなり書類の用意を始めてソファーに横になっている患者のことはちらっと横目で見ただけ。
あーだこーだと書類に書き込み、やっとこさ診察してくれました。
診察結果、肝臓、膵臓に異常あり、緊急入院です!!!! よよよ~ぉ そんな重症なの!!!
ドクターあっちこっちに電話しまくり、ヴァンセンヌの24時間クリニックが受け入れてくれますので、急いで下さい。
いろんな物を集めて、いろんな所を閉めたり、消したりして、すわクリニックへ。
痛み止めのためのモルヒネを打たれたせで、朦朧としている私の腕の中にいるPは車で移動中、何度も 『死んじゃったんじゃないの!!』と運転しているドクターに訴えたほどぐにゃリとしています。Pは小さい時からよく家に泊まりに来ている仲良しの犬です。
クリニックの待合室で待っている間、まぁいろんな人と動物が来るわ来るわ。
真っ黒な猫を連れてきたホモのカップルは、順番が来て呼ばれると、『パパもママも行っていいのかしら?』『えーえーお2人ともどーぞ』 『あら、じゃあママも行くわよ、ママも行くわよ』と腰をくにゃくにゃさせて診察室へ入っていきました。しかしパパは直ぐ出てきて、目頭押さえて『耐えられないわ』とやっています。やはり何処の世界もお母さんは強いんですね。
そうこうしていると、おばちゃんが泣き叫んで駆け込んで来ました。もう映画のようです。抱きかかえているのは血だらけの猫。6階から落ちたそうです。猫でも落ちるんですね。
ドラマチックな場面にぱちくりしている間に名前が呼ばれました。
診察と血液検査の結果、『非常~に良くない』と言います。『どういう程度の非常ですか?命に関わるというほどですか?』と聞くと、『ハイ、そうです。今晩死んでもおかしくないです』なんて、もうユダヤ人の専売特許のぐりぐり目で宣言するもんで、『でもこの子、こんなにかわいい子だから死ぬ訳は無いでしょ』など、混乱のきわみな発言をしながら何とか状況を整えようと必死のぱっちです。
ともかく、明後日までは入院です。
血液検査の為に注射をされた腕にブルーの絆創膏をくっ付けたPを置いて出た外はとてつもなく寒かったです。
つづく