春の大掃除

あー疲れた~ぁ、とどっかりソファーに沈み込み、足だけでなく、目まで痛いから何かを読むこともままならず、ほーとぼやけていたら,あらまあらまと見えるわ見えるわ家の中の汚れ。日差しの角度も変わって日当たりの悪い家の中もあらが浮き出てくる季節になりました。
毎日掃除機かけている日本の奥様方は 『んなことないっしょ!』と奮起すると思いますが、日本人の家って相対的に薄汚いです。真面目にお料理をしている証拠のギタギタの台所、カーテン引きっぱなしなので気がつかない汚れた窓、子供の手垢が付いた白い壁、天井から吊る下がっている埃だらけの電気の傘など。でも仕方ないです素人が毎日の惰性で掃除しているんですから。
普通の常識的なフランス人の家は小奇麗です。お土産でコケシなんか貰わないし、クマのぬいぐるみも買わないし、油物の料理はめったにしないし、なんてったって掃除はプロに頼むからです。週に1回か2回掃除を頼むのはちっとも贅沢な事ではなく、特に共稼ぎの家では皆雇っています。
掃除の人が来るから掃除しなきゃと思う芯から貧乏な日本人は中々人を雇う事が出来ないのに反して、植民地を沢山持っていたフランス人は人を雇う事に慣れています。このアパートで自分で掃除しているのは私だけです。1人暮らしの退職したマダムも週に2回掃除、アイロンを頼んでいます。彼女の家なんていつも完璧です。窓はキラキラ、台所はピカピカ、マダムのブラウスはぴっしりアイロンがかかっているし、花は絶えないし、家の中はぷんぷん良い匂いです。ひょいと抜き打ちでブザーを鳴らしても、出てくるマダムの格好はそのまま何処へでも出かけられる様子です。これがフランス人が肝に銘じている『生活の美学』なんですわ。
掃除機のゴミ袋が中々買えなくて、キーィとなった勢いで袋無しの掃除機を買いました。日本の奥様方に軽蔑されそうですが、私は週に2回しか掃除をしないです。大して汚れていないので2回で充分と思っていたのですが、袋無し掃除機だとゴミの溜まり具合が見えます。すると1回の掃除で相当の綿ぼこリと砂ぼこリを吸い込んでいるのを見てギョッとしました。まぁだからと言って、毎日掃除機をかけましょうとは思いつかないのですが。
魂消る事に、年に12000人の人間が家の中での事故で死ぬそうでう。原因のトップが洗剤だそうです。水道管の詰り止めの製品など言われなくとも劇薬に決まっていると言い切れる強力さです。フランスのおばあちゃんは洗うのはマルセイユ石鹸、消毒はお酢。これだけあればお掃除は完璧にできます!と言います。
溶けたように疲れているのに、気になったら最後、掃除を始めたら、後先考えず模様替えまで始めてしまいました。火事場の力持ち的に家具を動かす自分にホトホト感心したものです。これでうちの春の大掃除をしたことにしよう。
丁度いい具合に置いたソファーに寝っころがって、疲れた体にワインをしみ込ませる幸せ。