ちっ、家のWi-Fiが変。全くもって憂鬱な事態になりました。今まではプロバイダーにメールで訴えて、忘れた頃にすっとぼけた返信を受け取るというパターンだったのですが、そんな流暢なことは言っていられません。
お茶を入れて長期戦の構えで電話をしました。音声録音のぺらぺらを聞きながら、インターネットに関しては1番、の1番を押して、技術的なお問合せは2番、という2番を押して、ボックスの番号を入れて、住んでいる地区の郵便番号を入れてと諸々の作業をテープの姉さんの指示に従って、”では担当にお繋ぎします、予想待ち時間5分” とやっと辿り着きました。
5分?5時間じゃないの?とお茶を一口啜り本を読み始めるや1行も読まないうちに、”はーい、初めまして、私はロマンです。どのようにお役に立てますでしょうか?” あまりの不意打ちに本の中身とごっちゃになり、へっ?と言葉がでません。”人間ですか?”とへまな事を口走ってしまい、”はいそですよ”と爽やかな笑い。
名前を確認され、”マダムミツイお話しできて光栄です”なんて言い出す始末。今度は耳から外して電話をつくづく凝視してしまいましたよ。私は能天気なカリフォルニアに電話したのかしら?いかんいかん、この人達は次から次から掛かってくる電話対応でえらく忙しくて、ちゃっちゃと用件を言わないと切られちゃう、と早口で問題を説明すると、”なるほど、なるほど、では一緒に解決していきましょう”と余裕のよっちゃんの構え。ロマンがゆっくり優~しく説明する指示通りに線をひっこ抜いたり、繋いだり、あららら?なんて焦ったりすると、”ゆっくり落ち着いてやってください。いいですかもう一度言いますね”とお婆ちゃんの世話をする優しい孫のような態度です。
作業の途中でぶっ魂消たのは、”マダムミツイ、テレヴィのリモコンのバッテリーがそろそろ切れますよ” と電話の向こうの会ったこともないロマンに言われました。人間そのような時、何故天井を見回すんでしょうかね。私も部屋上空を見回して、”ひょ~そんなこと分かるの?”と恐ろしくなりました。見ているテレヴィのチャンネルももちろんばれています。終始一貫優しい孫、ロマンのお陰で、物知らずのお婆ちゃんは無事問題解決に至りました。
これは、フランスのサーヴィス業界の大革命だわ。と電話を切った後も興奮している私。しかし悲しいかな、フランスに長く居るお陰で疑り深い性格になった私は、もしや変人ロマンと同僚から言われている人に当たったのかもしれない、ちょっと携帯の事聞いてみよう。と再び電話をし、長々のボタン押し操作をし、予想待ち時間3分、まで辿り着きました。直ぐに出ると思っていたのに今度は5分位待たされました。やはり常に期待通り、予想通りにはいかないのがフランスだわ、と少々安心した位です。
次に対応してくれたファティマもロマンに負けず劣らずの立派な対応ぶりを発揮してくれました。あ~これは本物だわ。
最近は泊まったホテルや、乗った電車や、行ったエクスポや、チケットを買ったエージェントなどから一々、どうでしたかとアンケートがくるので、フランスもやっとサーヴィスとい言葉を理解し始めたようです。