道を歩いていましたら、向こうからビニールみたいな顔して歩いて来る人がいます。良く見ればなんと知っている人です。
『酷い顔してど~したの?』と聞くのも憚れるほど酷い様子です。でもやっぱり、他に聞きようがないのでそのように尋ねてみますと、『泥棒!』
ぎょえ~、とうとう頭に昇っちゃたのかしら?被害妄想かしらん?
『あたし、何も取ってないよ!』と濡れ衣をひっぱぐことで私も支離滅裂です。ところがバクバクしてたのは私だけで、彼女は『何言ってんのあ~た』と、お返しに被害妄想の嫌疑をかけられました。
真っ当な彼女の話を聞いてみれば、なんでも、週末田舎へ行っていて、月曜日帰ってきたら泥棒に入られていたそうです。
田舎から帰ってきて玄関のドアを開けようとしたら、チェーンが中からかかっていてドアが開かなかったんですって!『お前何やったんだ!』と出る時鍵をかけた彼女は旦那に怒鳴りつけられたそうです。しかし上手くしたもんで、若い時錠前屋で働いた事がある旦那は蛇の道でチェーンを外し、やれやれと中へ入ると、玄関の正面に位置する台所の窓がすっぽり床に落ちていたそうです。 聞いているだけでショックにブルッとします。
宝石が全て取られたそうです。と言う事は彼女の物だけ。旦那のナイトテーブルや箪笥はチラッと見ただけで、何も無いと分かったのか手付かずだったと悔しそうに言っていました。普段からとっ散らかっている持ち物の何が取られたか、未だ全て把握できないと半泣きです。
不況の風吹くフランスは年々泥棒の被害が増えているそうです。1軒屋や1階に住んでいる人は特に、いつ泥棒に入られるかひやひやして生活しているそうです。
調査によりますと、泥棒の30%近くは外国人だそうです。特にルーマニア人、そして旧ソ連だったジョージア人の盗賊団が目立って活躍しているそうです。彼らの3分の1は未成年で、4分の1近くは女性の盗賊だそうです。
皆でトラックに乗ってフランスにやってきて、トラック内で寝泊りして、支払いは全て現金、盗難品がトラック一杯になったらさっさと国へ帰って盗品を売りさばく。
彼らの狙いは,何しろ時間との戦いですので、入り口が1つのアパート。ドアから堂々と入るのが半数以上だそうです。
3分の2は空き巣だそうですが、警察としては、万が一泥棒と鉢合わせになっても、決っして映画のヒーローの真似をしないで、おとなしくして、犯人の特徴や車のナンバーなどを覚える事に専念するよう忠告しています。
最近の流行としては、パソコンなどの電化製品以上に、金、銀の価値の上昇に伴い、持ち運びも手頃なアクセサリーが圧倒的だそうです。正しく、私の知り合いのケースです。他にも、庭の納屋に置いてある大工道具や自転車なども思いの他人気があるようです。
10%の人は泥棒に入られても警察に届けないんですって!なんかやましい事でもあるんかいと勘ぐっていたら、届けても4分の3は、その後なしのつぶてだそうですので、どうせ届けてもしょうがない、めんどくさいという気分になるのも分かる気がします。
私の友達は、シャトーと家族の間では呼んでいますが、それほどの物でもないけれども立派なマノワーを持っています。
もう何度空き巣に入られた事やら、ご先祖様の肖像画から代々伝わる銀食器など取られっぱなしです。警備会社と契約したり、玄関の前に落とし穴を掘ったりの苦肉の策は効果なし。すっかり諦めた今では、イケアのショールームのような内装になってしまいました。
私の家は4階なので、天気がよければ1日中でも全部の窓を開けっ放しにして出かけているのですが、壁を伝って入るスパイダーマンみたいな泥棒も10%はいるらしいので今後気を付ける事にしよう!と言っても、とっとと持っててくれというようなガラクタばかりなんですがね。