日本の軟水、フランスの硬水

パリにいらした方がよくおっしゃいます。『シャンプーすると髪がごわごわするわ、それにお肌もざらつく感じ』これはパリの水の仕業です。
日本はほぼどこも軟水です。ヨーロッパはほぼ何処も硬水です。この硬水、軟水の分かれ道は、水に含まれるカルシウム、マグネシウムの量で分類されます。日本は国土が狭いので河が短かく、おまけに山がちなので傾斜が多いので水が勢い良く流れる為、地に含まれるカルシウム、マグネシウムを吸収する暇が無く軟水となります。一方ヨーロッパは河が長~くゆったり流れるので、その間ミネラル成分をたっぷり含み硬水となる訳です。パリなどはフランスの中でもかなり硬質度が高いです。
ど~りでね、日本のお水は優しくてまろやかで良いお水!とは、ところがどっこい言えないのです。
軟水は浸透性があるので汚れが落ちやすいです。日本でお風呂に入る時など石鹸の泡立ちの良さに感動します。日本の出汁が出やすいです。よくパリの日本レストランの料理人はちっとも出汁が出やしない、とぼやいています。お米も水分を良く含みふっくら美味しく炊き上がります。こちらのお米料理はパラパラピラフやドロドロリゾットですものね。お茶も香り高くいれられます。
硬水は逆に吸収性が良くないので胃腸に負担をかけますが、それがダイエットにいいんです。ダイエットご用達ミネラルウォーターのコントレックスはかなり強い硬水です。又、便秘にも効果的です。我が家に遊びにくるおばちゃん達は、ここに居ると快調だわ~っ、とすっきりした顔をしています。カルシウム、マグネシウムを多く含んでいる為、スポーツをする時や筋肉運動をする時に適しています。痙攣や足がつるなどの防止にもなります。それに、肉の臭みやアクを取るのに優れているので、肉をコトコト煮込む料理に最適です。
軟水は日本料理の命であるカツオや昆布の旨味であるグルタミン酸を良く引き出し、日本料理全体に適しています。蒸したり、オーブンで焼いたり、油で焼いたりの調理法で、スープストックやワイン、クリームで味付けをする水に頼らないヨーロッパ料理。
水の質もその土地、その国のお料理のあり方に大いに影響を与えているということでしょうか。
パリの水道水は飲めます。しかし、硬水に慣れていない日本人のお腹はびっくりして、下痢をするかも知れませんので、旅行中はミネラルウォーターを飲まれることをお勧めします。