色々な事柄がちゃっちゃと進まないのがフランスの普通、と言うと、こっちもよ、という声がアメリカ、イタリア、スペイン、エゲレスなど世界中から返ってきます。
先日、12時45分の医者の予約に12時40分に着いて、間に合った!とホッと本を読み始めました。ハッと気が付いて時計を見ればもう13時50分。どんなに遅くとも14時には家に帰って、着替えて15時の約束には間に合うというのがその日の腹積もりだったんです。本と時計と待合室のドアの3か所を順番に睨みつける忙しない時間を過ごすこと35分。2時間近い遅れです。やっと診察室に入れば、”少しお待たせしちゃったわね” ”いえいえ、すっごく待ちました” の私の言いぐさにムッとした空気を醸し出す医者。医者に機嫌を悪くされては怖いので、愛想良くさっさと話題を変えました。明日からヴァカンスなの、とウキウキの医者は、9月に又いらっしゃい、お待ちしてますよ。と円満の微笑みで送り出してくれました。
スーパーでワインを6本買いました。他に夕食用に色々買ったのですが、レジの会計で、はっ?て金額を言われました。”何かおかしくないですか”と言うと、”あっちで聞いて、ともかくこの金額を払ってください” 長蛇の列なので、おとなしく支払って、受付カウンターのこれまた長蛇のしっぽに着きました。やっとこさの順番に”このワインの値段違います。”と見せると、受付の2人のピーチクババアは、パソコンを叩いて、このワインはこの値段よ、と2人で言い張ります。負けずに違うと言い張る私。仕方ないわねと何故か2人してワイン売り場に見に行くババア。もちろん私が正しいのですが、このワインがこんな安いなんてね、あなた良く見つけたわねと褒めてくれました。私の後ろにも人がどんどん並んでいます。モノプリという日本でも有名な大手のスパーだけあって、返金はカードに即されていました。
郵便物が届いています、いついつ以降、何処何処の郵便局に取に来てください。と留守の間に来た配達人のメッセージ。翌朝遠い郵便局までバスに乗って取りに行けば、”あなたの郵便物はまだここに届いていませんね” ”何で?” ”あ~、配達人が日にちを間違えて書いてしまったんですね、明日以降にここに届きます”
”あ~あ、こんな遠くまでせっかく来たのに”としょんぼり帰ってきました。翌日の夕方、再び郵便局、同じ係りの兄さん。”あれ?無いですね” ”何で?” ”どうやら違う郵便局へ行ってしまったようです” 少々うんざりした様子を私がしたようで、係りの兄さん、”お電話番号を教えてください、状況が分かり次第ご連絡し、配達し直します” かなり機転が利いて、親切心が強い兄さんです。忙しくしていて電話を受けることもできなかった翌日の夕方、留守電に”配達したのですが、お留守だったようで、郵便物はこちらの局に戻ります”というメッセージを聞きました。翌朝早く3度目の郵便局へ行こうとして、留守の宅配通知表が見つからず大いに焦りました。ええ、もうええわ。と顔パスを狙ってそのまま出かけました。
すっかり顔馴染みになった兄さんは、”ご機嫌いかがですか?昨日はお留守だったようですね” と他のお客さんをおっぽって私の郵便物を探しに行ってくれました。手ぶらで戻って来る兄さん。”まだこの郵便局に戻ってきてません” ”何で?” ”10時頃にトラックが来ます” 私がうんざりする間も与えず ”私が午後直接お届けします、えーとパン屋があってホテルがある辺りですね”と、私が指定した変てこな時間帯に本当に来てくれたのには驚いたもんです。増してや、本好きな友達が、読み終わった本を時々送ってくれるのですが、日本からのその本の小包だったもんだから、嬉しさも一入でした。
このような事態で一々怒っていたら直ぐに禿になります。やれやれと肩をすぼめるぐらいにしておけば、何だかほんわりする落ちに終わるのがフランスです。