どなたもそうだと思うのですが、寝る時と起きた時、はたまたお風呂に入る時って、全く同じ手順で、儀式の様に行動していると思うのです。まるで夢遊病者のように無意識に。
朝起きると、先ずスリッパを探すのですが、いつも無い。毎朝どういう訳かとんでもない所に散らばっているんです。きっと座敷童が夜中に遊んでいるんだと思うのですが。昨日もその前も明日も明後日もこうやってスリッパを探すのかとため息をつきながらやっと見つけたスリッパを履いて、毎朝思うのがギリシャ神話のシュシュポスの罪。
したたかに嘘をついて神様に怒られたシュシュポスは、大きな岩を山の頂上まで押し運ぶという刑を言い渡されました。やっと頂上まで運んだと思った矢先に岩は転げ落ちます。そして又やり直し。永遠に繰り返しても何の実も結ばない、不条理の世界。
スリッパを履いて、ガウンを引っ掛けて行動し始めれば、シュシュポスの事は消えるのですが、この一瞬の憂鬱はやはり冬独特の症状なんだと思います。
フランスでは、10月~3月の間に冬の憂鬱症が起こるそうです。人口の13%弱、圧倒的に女性に多いそうです。
ヴィタミンDを取れ、ナッツ類を毎日食べろ、ブラックチョコレートも良し。家に籠っていないで外で運動しろ、など鼻で笑うようなアドヴァイスが雑誌やテレヴィで言っています。
一番効果があるのが光療養と聞いて、そやそやと思い出したのが、北極圏での光景。診療所に光療養の機械が備えてあったわな。それに肝油のシロップがスーパーにずらずら並んでいたな。
今頃、あの辺りは1日1,2時間薄らぼんやり明るくなるだけで、永遠夜だろうから生きる為の絶対必需品ということで、説得力があります。
パリもかなり薄ら暗い毎日で,空はグレー色でありながらも日1日と1分から2分、日が伸びているという希望があります。今日の日の出は8時40分、日没が17時19分。明日は、日の出が8時38分、日没が17時20分。
なので、今の季節、でれんとやる気が無くて機嫌が悪いパリジャンにあたっても勘弁してください。彼らが悪いんじゃないんです。太陽がないからなんです。
さっき行ったブティックの姉さんは、”あ~もうやってられない、ケーキ買ってくる!2つ食べちゃうから”と財布を握りしめて出て行きました。
私だったら、”あ~やってられない、2杯引っ掛けてくる!”となることでしょう。