フランス人の第一関門

昨日の木曜日から、ふつーうのフランス人にとっての人生で始めての関門が開かれました。

バカロレア試験の開始てす。バカロレア略してバックとは、高校卒業資格であり大学進学資格の取得試験です。

例のナポレオンが考え付きました。現代のフランスにおいてナポレオンが決めた事で今だに受け継がれていることが沢山ありますがバックもそのひとつです。

バックには3種類あります。先ず普通バック、これは将来何していいか分からない子が取り合えず大学でも行ってみっか。と選びます。全体の50%。

次が、職業バック、お勉強いや、直ぐ働きたい、パン屋になるわ。という子用。全体の26%。

そして技術バック、将来なりたいことがばっちり決まっている子用です。例えばあたしゃダンサー以外の人生だったら、ワカメかなんかに成ったほうがましだわなんて言い張る子用。24%です。

考えなしの子が受ける普通バックの中も3種類に別れていて、理数系、全体の50%。エコノミー23%。それから就職先が無いと皆が思い込む文科系が17%という2011年のバック受験者の比率です。

皆が敬遠する文化系ですが、文化の頭の子が無理して理数を受けて点数が悪いより、文化で良い点数取った方が絶対いいに決まってると私は固く思い込んでいたんですが、色々情報を集積してみて、やはりあたしの思い込みは正しいと分かりました。

バック全体の合格率は85%ぐらいです。ですからまぁ受かって当然のような物なので、点数がものをいいます。

20点満点で平均が8点以上10点以下の子は後ほど、口答試験を受けて挽回することが出来ます。

平均12点以上だと、まぁまぁよろしい。14点以上だと、よろしい。16点以上だと大変よろしい。という評価が付きます。この評価によって、要するに点数がいいと、行きたい学校、又は大学ならば行きたい地区の行きたい学部へと希望が通ります。

フランスは飛び級、落第がありますので、受験生は17歳から20歳が普通です。しかし毎年特別な受験生が必ずいます。

今年の最年少は12歳の天才少女。学校なんてアホばかりでくだらないからか、通信教育でお勉強をしています。

最年長は71歳。戦争や家庭の事情や若い時怠け者だったからなどという理由でバックを持っていなくてずーとウジウジしていたんだと思います。

そんな大人の為のバックを取る為だけの学校がパリにあります。1年間びっちり勉強してバックを取る!がみんなの目的。見上げたもんです。

毎年バックの試験は木曜日に哲学で始まります。土日で最後の足搔きをして月火水と続きます。1科目につき3時間から4時間かけて回答していきますので、皆お水とチョコレートバーなどを用意して試験に臨みます。

受験生も大変ですが、この時期は先生達も大忙しです。試験の監督でフランス中を動きます。それから400万枚の添削が待っています。1枚の試験用紙の添削に対して5€、口答試験の試験官として、4時間で38€43セント支払われます。

私の友達は自然科学の高校の先生ですが、今年は何枚の添削があるから大変だとか楽だとか毎年言っています。

でも一番大変な添削は哲学ではないでしょうか。受験生が4時間かけてつらつら書きあげた物を読むんですからね。どっかの田舎では哲学の添削者が足りなくて、大学に応援を頼んだけど、どの大学からも返事も来ないという話を聞きました。

試験会場は各高校がなるのですが、何故か知らんけど、自分の通っている高校でなく、行ったことも無い高校へ行かされます。タダでさえ皆イライラ、ドキドキ、モヤモヤしているのに、どうして余計な心配の種を撒くのでしょう。慣れない所へ絶対遅れないように朝から行くのは大きなストレスになるでしょうに。

バックの間、受験生でない学年の子達は先生が忙しいのでほっとかれるのですが、取り合えず多少は授業があるので学校へ行きますが、何しろ大切なバック中ですので静ーかにそーとしていなければなりません。

この時期は彼らにとってはもう夏休みも同然で、すっかりリラックスして遊び呆けています。

試験の結果は今年は7月5日、受験生達はもう少しの緊張が続きます。