フランス人にとって人生最初の真剣勝負の高校卒業、そして次のステップへの国家試験、バックことバカロレアが今年も終りました。私は、体重が20KG減り、すっかり頭も禿げ上がる勢いで心配のどん底に沈んでいました。
何しろ今年バックの息子は酷かった。6月は最初の方にちらりと授業はあったけど、直ぐに試験休みに入りました。彼にとっては、学校お休みイコールヴァカンスです。毎日朝帰り。ぐっすり眠って、すっきりお風呂に入って、ピカピカにして又出かけていきます。かんかんに沸騰している薬缶のごとくの私の頭の対処の仕様もありません。本人ニヤニヤしているばかり。一向に帰ってこないタコに『このたわけ、さっさと帰ってきなさい。今直ぐ!』とSMSを送れば、『心配ご無用!』との返事。
あまりのノンシャランな態度に、もしかしてすっごくいいカンニングの方法を見出したのかしら、とそのへんに放ってあったカンニング防止のパンフレットを見ながら思い悩んだり、もうすっかり人生を止めたのかと気を揉んだりの毎日を送っているのもアホらしくなり、『あ~あ、もうえ~わ、ニュージーランドで羊飼いになるか、カナダで樵になるかしかないわ。』と早速航空券を検索しました。ひょえー高い!と怯んだのですが、そやそや片道切符でいいんだと気を取り直し、調べ直して見たものの、片道でも往復より大して安くはならないという事が分かりましたが、腹をくくりました。『え~い、買ったる。』
6日間の試験中も、試験が午前だけだと午後からどっかへ出かけていきます。午後から試験だとお昼頃まで寝ていて、お昼は友達と外で食べて午後試験に行きます。
いても立ってもいられない私は、夕食時に『どう?上手くいった?』と愚問をついついしてしまいます。答えはいつも同じ『ウン、ちゃんとやった』この”ちゃんと”、と彼が言うのは、試験をちゃんと受けた、と言う意味です。分かっていながら聞いてしまう悲しい母。
試験前や試験中に一緒に遊んでいるのは、もう大学生か、落第してバックは来年という子達です。バック仲間ではありません。
昨日、2年前に学校のカリキュラムで2週間の企業研修に行った時にお世話になった人に会いました。
どうだい、君の息子は、バッチリだったろ?
聞いてよ、どーしよう、私憂鬱の渦巻きなの。と様子を報告すると、真剣眼になって、それは酷すぎる、信じられないな、そんな子がいるんだ。真っ暗な顔している私に、『落ち着いて、ともかく結果を待つしかないよ』と慰めてはくれましたが、その本人もかなり動揺してました。
水曜日に試験が終ってから、何処へ行ってたんだか久し振りに今日の夕食で会いましたが、我が子ながら、なんなのこの子。つくづく見入ってしまいました。