『もしも~し、あたし~、元気~?』『あら、すっかり忘れられたと思ってたわ、ええ~元気よ』ぐいっと5オクターブぐらい低くなった声で答えが返ってきます。これが私と母の会話。
なんとかなだめすかしているうちに、恨めしぽっい気持も忘れたのか、まーしゃべるわ、しゃべるわ、強風の中の風車の如く。
親離れが益々激しくなっている娘の私は、本当に普段はすっからかんに母の事を忘れています。
私の友達は娘と双子の様に仲が良く、娘が一人でパリに遊びに来て、家でワイン片手に2人で彼女の母親(私の友達)の事を話そうものなら、目をウルウルさせるぐらいママの事を愛していて、片時も忘れたりなんかしないようです。
キフキフパリの超VIPのご家族がいらっしゃいます。毎年どなたかが必ずパリに遊びに来てくださいます。
今回はお母様とお嬢様、これまた仲がいいんだ。出発前にお嬢様がメールで、『やったー、今回はママも一緒です!』と彼女の喜び様は一様ではありませんでした。
お母様もお嬢様がパリを楽しめればそれで私も幸せという按配です。
でも、『なんかパリに居ると髪の伸びるのが早いみたい。』とおっしゃるので、早速美容院へご案内し、すっかりパリジェンヌ風になって、お嬢様にも褒められて、お母様もパリを堪能してはいらっしゃるのですが。
18歳で娘を産んだ友達がいます。2人共金髪、ブルーアイズという同色です。今や32歳の娘と50歳の母が仲良く2人揃って歩いているのを見かけたら、まるで上等の猫が2匹居るみたいでした。娘がまだ10代の頃はそりゃ犬猿の仲だったのに。
母親というのは、絶対的な安心と信頼を寄せていいものなのだから、べったり仲良くして損はないのにな、と反省いたします。