2月28日から3月7日までがパリコレクション。
同時期2月25日から3月4日までが農業展示会と小さいパリ市内で世界的に大きなイヴェントが行われています。
私はいつものようにパリコレクションのお手伝いで楽しい時期です。
大抵のフランス人にとってパリコレはあっちの世界の事ですが、農業展示会はフランス人にとって心が喜ぶ田舎の空気、動物の香りを満喫できる大人気のイヴェントです。
去年は680,000人の入場者でした。
特に今年のように大統領選がある年は大統領立候補者が競って駆けつけます。
よくフランス人が言う『我々は根っからの百姓なのさ』は本当のようです。
第49回目の今年の農業展示会の開幕を切ったのは、もちろん現役大統領であり、時期大統領立候補のサルコジ大統領。
数年前、文句を言ってきた見学者に『うせろ!馬鹿タレ!』とつい暴言を吐いてしまったサルコジ。今年は、通常9時から始まるのに、7時30からやってきて4時間農民達のご機嫌取りに費やしました。
農業展示会でなくてはならない人はジャック シラク元大統領です。
片っ端から試食品を食べ、飲み、『世は満足じゃ』とご満悦の様子で展示会場を見て回っていました。1995年から毎年欠かさず訪問していたシラクも今年で79歳。すっかり体が弱り今年は欠席です。
毎年、アイドルがいます。豚か牛が堂々として見栄えがいいのでよく選ばれます。
今年はガスコーニュ出身、銀色の毛を持つヴァレンティンヌという7歳の牛のお嬢さんです。
そりゃ大切に育てられた深窓の令嬢です。
1日中ブラッシングとマニュキュアに明け暮れているんではないでしょうか。
すごいな、フランスは農業大国だな、リッチだなと思うのは早とちりで、この展示会に出ている農民達は大地主の豊かな農民。その他大勢は小さな貧乏農民です。
最近は留守番農民を雇いヴァカンスへ出かける人達も出てきましたが、ちょっと前までは農民がヴァカンスへ行くなんて有り得ないことでした。
いつも泥んこにまみれて、自分の畑から出たこと無い人達です。
パリから1時間半の所にいるのに、1度もパリさへ登った事ない人を知っています。パリさなんか行ったら頭痛くなって目も潰れる!と信じています。
職業別で見ると、最も自殺者が多いのが農業だそうです。
数年前私の友達も牛小屋の梁で首を吊りました。
仕事すればするほど損をする現状の厳しさ、将来への絶望が主な理由です。
50年前はフランス国民の40%が農民でした。今は3,5%ほどだそうです。
八百屋で見ても、フランス産の野菜、くだものは高くて、スペイン、ドイツ,北アフリカ産の物にぐんぐん押されています。
美味しい物が採れて、美しい服が作られるフランスよ永遠に!