親で決まる人生

パリ8区の超シックなアヴェニュー モンテーニュにあるラヴェニューというレストランが人種差別も甚だしいというニュースが流れています。アラブ、アフリカン、アジア(特にツーリスト)、デブ、 ブス、年寄りはお断り、とにこやかに門前払い。例外は有名人ならこのカテゴリーに相当してもウエルカム、テラスに座らせてもらえます。白くてもあまり見栄えが良くないと2階に案内され、外から見えないところに座らされます。しかし、こんなの今に始まったことじゃないのに。パリの気取ったシックなお店は昔からこんな掟があったと思います。近頃は皆とってもハラスメントに敏感で大騒ぎになります。
なので、このレストランの評価も”クール!”と”最悪”の両極端に分かれます。
こういった場所で美しい従業員に最高のスマイルでスマートにサーヴィスされ居心地良く過ごせるピープルは、やはり生まれが違うというのはあると思います。
パリとその近郊在住で、親が管理職の子供の半分はやはり管理職に就くという統計があります。労働者の子供の5倍のチャンスで管理職になるのです。
シャンゼリゼやサン ジェルマン デ プレなど高級な地区にあるプライヴェートの専門学校の生徒達なんか、朝からシックなキャフェで搾りたてのオレンジジュースなんか優雅に飲んでいます。
下校時間の学校の前を通ると良く思うのですが、私立の良い学校は金髪系の子がやたら多いです。フランス人で髪の色が明るい金髪系の割合は30%位です。それなのに金髪系がとても多いんです。アラブ系、ブラック、アジア系はとってもとっても少ないです。下町の公立の学校などでは、アジア系がやたら多かったり、アラブ系が目だったりという特徴も地区によってあります。
やはり、家庭環境は子供の人生に大きく影響するようです。
18世紀、19世紀の大作曲家の子供時代の本を読んでいて面白かったのは、大抵の家は貧乏だったんですね。メンデルスゾーンなんかはユダヤ人の才覚を発揮した父親のお陰で豊かな環境で育ったようですが。
貧乏なりにも、大抵親が楽器を演奏しているんです。家の中にピアノやヴァイオリンが転がっているんです。誰かが楽器を奏でればのど自慢の母親が歌い始めるという環境です。父親が教師というのも多く、教育に熱心で、子供の才能をいち早く発見しそれを伸ばす方法を知っている。そして、将来の大作曲家はどの子も美しい声をしていて、聖歌隊の合唱団のスターでした。音楽家など、貧乏なボヘミアンになるんではないだろうか、と親が心配するのは今も昔も同じで、ちゃんと学校へ行きなさいというパパの命令に素直に従い進学した大作曲家は皆、一時期にせよ法学部へ通ったというのも興味深いです。
今の時代は、立派な音楽家になるには3代かかると言いまが。1代目が大金をつぎ込んで、音楽を勉強するのに良い環境を整え、その環境で勉強した2代目が、培った知識を3代目に全部受け渡し、やっと3代目が舞台の光を浴びる。無知で貧乏な親の子供にはあり得ない道です。
前回のブログにも書きました、神様に依怙贔屓された美しき人々程すべてを持たなくとも、せめて美だけでも授かれば素晴らしき人生になるんでしょうね。
あ~あ。