帰ってきたら

今のパリジェンヌ達の服装は、綺麗に日焼けした素足にサンダル、夏のワンピースやスカートにカーディガンを羽織って、首にスカーフといったいでたちです。あーこの人は朝早くから家を出たんだなという人は、本当の毛糸のセーターに本当の毛糸のマフラーを巻いています。日本の人に言ったら殴られそうな、気持ちのいい天気です。
顔からも汗が噴出し続けていたあの日本の暑さはもう遥か彼方、思い出せません。
ところが、帰るや否や問題ばかり。銀行だ、役所だ、教育委員会だ、etc。。。。電話、メール、直談判と毎日戦っています。
おまけに、上の階からの水漏れ。もちろんヴァカンスで誰もいません。あっちこっち電話しまくったんですが、なにしろヴァカンス中繋がりません。
びちゃびちゃ漏れる水の音に焦り捲くり、一層消防署に電話してドアをぶち壊してもらおうかと思ったんですが、天使の声が『まあまあ』と私を宥めます。
そんなこんなで1日を費やし、やっと探し当てた借主の家族。『鍵持ってるけど、行けるのは明日の朝だからよろしく。』翌日確かに父親が来ましたよ。ふるっています『修理を頼んで、お宅に電話するように言っといたから、後はよろしく、鍵置いていくから、修理の人が来たらドア開けてあげて』
日本の感覚が抜け切れていない私は口がポッカリ開いたままどうして良いか分からないショック状態です。
時間を置いてやっと状況判断が付いためでたい私は、水漏れ借主の父親に電話し、あーたはいつだったら修理に立ち会えるの?と聞いた所、『私は働いておりますし、毎週週末は田舎の別荘へ行く事になっておりますんで、あなたのご都合で進めてください。なにしろあなたは直ぐ下に住んでいるのだから簡単でしょっ』だと!
あーこれが日本なら、取り合えず、菓子折りの1つも持って、丁寧にお辞儀をしながらの謝りが入るだろうに。
まーそんな事フランス人に愚痴ったら、『ならば国に帰れば』って言われるのが落ちなので言えませんけどね。やれやれ、明日の朝、修理人に電話をかけるのを忘れないようにしなければ。
自主的海外在住の人は皆そうだと思いますが、不便な事や納得出来ない事や理不尽な事にまみれての生活にも拘らず、住んでいる国を愛しているんです。何なんですかねこの感覚は。
日本に帰国して、だれ~んと平和ボケして、アーいい気持ちと温泉に入ってるような気持ちで滞在しているにもかかわらず、パリに戻れば心底ホッとするんです。
居ることが出来る国が2つあるという事を心より感謝しています。