大臣のヴァカンス、息子のヴァカンス

『フランス国内から出ないように、24時間いつでも連絡がつく態勢でいるように。』というのがヴァカンス前にフランス大統領が大臣達にお達した事項です。大体の大臣達は自分の別荘でひっそり、携帯を肌身離さずヴァカンスを過ごしているようです。でもやっぱりヴァカンスは海だわ、という大臣達に人気なのがロワール地方の島、L’il d’Yeu.少なくとも5人ぐらいの大臣がこのちっこい島でヴァカンスを過ごしているそうです。立地的にも、すわっ、とパリに駆けつけられますからね。
7月1日からのヴァカンスが始まるや、コルシカ島の友達の別荘で過ごした息子は、10日後、戦地から戻ってきた息子、と言った様態で帰ってきました。私が家に帰ると、居間の真ん中にスーツケースを広げたままその前に足を放り出してぼーと座っています。”どーしたの?”目玉を動かすのも難儀といった感じです。何故か声もガサガサです。”病気なの?”
生き返ってからの話では、死ぬほど遊んで、ボロボロに疲れ果てて帰ってきただけでした。
その後、去年同様、仲間同士の別荘を順繰り廻ってヴァカンスを満喫するのかと思っていた息子は、”明日お弁当作って“ と夕食後に言い出しました。ピクニックにでも行くのかと、ムッとしたら、明日からバイトに行く、と耳を疑う話。そして本当に翌日からジャケット着てグラフィックデザインの会社に通勤し始めました。母としては、毎日お弁当を作るしかありませんがな。
そんなヴァカンスでも超機嫌が良いのは、オリンピックのお蔭です。6歳からやっているフェンシングの試合がフランスでは大体19時頃からテレヴィで中継されます。もう息せき切ってダッシュで帰ってくると、テレヴィの前に立ちはだかり、審判、コーチ、解説者の1人3役をこなしています。ご苦労なこった。
知り合いが出場していたり、テレヴィの解説者はフェンシングを始めた時の先生だったり、コーチの1人もしょっちゅう彼のクラブに来るのでよく知っている、などの要因があるので高熱に浮かされている状態です。
太陽の角度が秋に向かっているのが台所で夕食の支度をしていると良く分かります。2ヶ月のヴァカンスも後2週間を残すばかり。一番きつい1学期が始まろうとしています。
何の事件も起こらず平和に最後までヴァカンスを過ごせるよう、声を大にしてお祈りします。