フランソワ君が40歳になると。。。

フランソワとは、フランスでとてもポピュラーな男性の名前です。フランソワ1世なんて王様にも名づけられた名前です。私はこの名前好きです。女性用にはフランソワーズとなるのですが、これは嫌い。
元々フランス人という意味合いを持つフランソワという名前を、いちいちフランス人男性と書くのがめんどくさいので、ここでは、ひとからげにフランソワ君とします。
周りを見ていてフランソワ君達は40の声が聞こえてくると、土砂崩れの如く老け込むと思うのです。太郎君達(日本の男性)は40歳なんて、ひげた中学生みたいな様子なのに。
先日、歩いている道のそっちに友達のフランソワ君がいました。会えば、『あんたまだアホな事やってんの』(スポーツへの愛がゼロの私は、アホな事をする=スポーツをするという意味なので、悪口ではないです。)『君は相変らずぐうたらな生活をしてるんか』(運動靴を持っていない人間=ぐうたらと彼は決め付けています)と言い合い、肩をどっ突き合う気さくな仲です。
スポーツ馬鹿の彼は、お蔭で大変プロポーションのいい体をしています。そして何時も細めのジーンズにYシャツにセーターと言った、至ってトラディッショナルなきちんとした格好をしていました。
細くてクルクルした髪の毛は、誰が見ても禿げることを請合い、本人も相当気に病んでいました。で、とうとう気に病み疲れたのか、ある日、まだ剥げてもいないのに丸坊主にしてしまいました。
今では、禿げりゃ、つるつるに剃りあげるのが若者一般のスタイルですので、流行のヘアースタイルです。キャ~気持ち悪いとか言いながら、ぴしゃぴしゃとゆで卵のような彼の頭を叩いていたのが数年前。それからは、ゆで卵スタイルを通していました。
先日とても久しぶりに見かけた彼は、普段なら後ろから背中をどっ突いて挨拶するのですが、思わず来た道を周れ右したほどです。見てはいけない物的に。
離れてから、望遠鏡を覗くように観察してみれば。フランソワ君は正真正銘の禿げになり、それも一番かなわないのではないかと思われるタイプの禿げです。
耳の線から水平にもう1つの耳まで線を引いた位置までゆで卵状態、やけになったのか、その線の下の髪をフランソワ君は伸ばして、天辺の無毛地帯を補うかのごとく、顔は髭だらけ。
ズボンはダブダブヨレヨレ、おまけにTシャツにカーディガン姿。まるで風呂屋からの帰りかなんぞのようです。どーしたフランソワ!とうとう声をかけることもできませんでした。
知り合った頃、彼は30歳そこそこでした、あれから10年は経ってるから40歳にはなったか!!
同じアパートのフランソワ君、新婚で引っ越してきた当時は中々見栄えのいい姿でした。子供が1人出来、2人出来、3人出来と日が経つにしたがって、不機嫌そうな面構えになり今では髪は白髪だらけ、がっちり太って、益々眉間の皺を深くして爺むさくなりました。彼も40歳になった頃です。
傍目も羨む美男美女のカップル。2人の娘もいて、4人でいるとラルフ ローレンのコマーシャルのようでした。奥さんはケイト ブロンシェット似のクールな美人なのに、郵便局の車に乗っているのが、愛嬌があって親しみを増していました。旦那のフランソワ君は誰か俳優に似てるような、似てないような美形でした。が、いつぞやすっかり大きくなって、太った娘と歩いているフランソワ君には魂消ました。ブルーのはずだった目の色まで、記憶にも残らないような茶色だかの色になって、シャープな輪郭も首や耳なんかとあやふやになり、全体的にぼよよ~んとしているんです。このフランソワ君も40歳を迎えた頃だと思います。
こんな例がいくつもあるので、想像してみました。
30代に結婚して、子供も出来て、フランソワ君達が一番居心地が悪く感じる、自由とときめく愛が無い状況に落ち入るんだと思います。
朝、子供を学校へ連れて行かなきゃならないし、水曜日は会社の帰りに子供のお稽古事の迎えに行かなきゃならないし、土曜日は朝からスーパーに買出しに行かなきゃならないし、日曜日は公園行ったり、電球を変えたりしなきゃならないし。仕事だってそれなりに忙しくなってくるし。子供も大きくなってきてお金がかかるので、お小遣いも少なくなってきたし。自由になる時間もお金も無い!あ~つまらん!
これじゃ女の子を引っ掛ける事もできゃしない!もうこの世の終わりだ!という心の奥底の気持ちが外に湧き出ているのではないでしょうか?
絶えられなくなって、ちゃっちゃと離婚する人は結構小綺麗な状態でいるのかもしれません。
フラフラせず、理性を働かせて、真面目に旦那さん、お父さんをやっているフランソワ君達が40歳ぐらいになると総崩れになるってことか!それを証拠に、そのうち、もやもやの気持ちも落ち着くのか、その後はあまり急激な変化をせず年を取っていくと思います。
崩れる人=きちんとした人!!
話の弾みですが、ファーストネームってフランソワ1世が出生届けを教会に出すシステムを作ってから、今のように個人を識別する為として定着したんですって。それまでは、単に呼ぶ為に適当なあだ名を使っていたそうです。