ハリー ポッター イン パリ

もう6月から殆どバカンス状態のフランスの子供達。正式にも7月、8月と2ヶ月丸々お休みです。
チト長すぎて、新学期に脳みそゼロになって学校に戻ってくる子供が少なくありません。
バカが嫌いなうちの息子の学校は休み中必ず読書の宿題があります。感想文を書く必要はありませんが、新学期開始そうそう、その本に関しての試験があります。
通常私達は7月直ぐバカンスに出ます。
なので、毎年出発前に宿題関係、新学期の準備まで抜かりなくしておきます。
ところが今年は、こんぐらかった事情が固まってしまって、初めて7月にパリに居ることになりました。
なので気も抜けているし、違うことに気を取られていて、息子が進級出来たことだけを確認したら、すっかりその他の彼に関する事柄を忘れていました。
この進級に関しては、今年は散々先生達に脅かされていたので、心を重くしていたんです。
学校に呼び出し食らった時、『だからいったいこういった子供はどうしたもんでしょうかね?先生方はプロなんですからそこんとこ教えて頂きたいもんだわ。』と私。ため息つく先生方。そこへ、担任の先生が『それでは、私が個人的に特殊教育法で試してみましょう、木曜日の16時から18時まで。』と頼もしいことをおっしゃって下さいました。
どんな事なのかペラペラ説明し始めたけど、よー分からん。
それって催眠術みたいなのかけるんですか?とか怪しい宗教なんですか?など失礼な事言った挙句、まー何でも試してみて下さい。とお願いしてきました。
このようにヒヤヒヤもんだったので、今年進級できるかどうかは大きな関心事だった訳です。
そこの部分でホッとして、すっかり忘れていたのが宿題。
本人も全く知らん顔。
『あーた、バカンス中読まなくてはいけない本は?』と母。
『無い!』と息子。
訳無いだろうが!空かさず学校のサイトにアクセスして調べると、3冊もあるでないの。
キーとなって息子の耳を引っ張って近所の本屋へ向かいました。
本屋のある道を曲がると、なんか変。異様な雰囲気。ざわざわしてて、車はにっちもさっちも行かなくて、クラクションブーブー。警察も一杯。どうしたどうした?テロでもあったかね、と近づいて行きました。
たむろってる人を見て分かりました。
あー今日は火曜日、ってことは明日は水曜日。
いつぞやフランスの水曜日の事を書きましたが、水曜日は映画の封切り日なんです。この水曜日、最後のハリー ポッターの映画が封切します。
その前夜際で、出演者のサイン会をその本屋でやる為、大騒ぎになっていたということです。
皆暑いのに例のマフラーしたり、マントを着たり、ハーリー ポッターしていました。
人の渦にはまって、抜けに抜けられなくなりそのままでいたら、サイン会が始まりました。
主役のトリオではなく、その他の人だったので私はよく分からず、ましてや素顔なので誰が誰だか。
隣で背伸びしている息子に、
『あのでくの坊みたいな人だーれー』?とか『あの年寄りだーれー?』とか『あのうんでもすんでもないような女の子だーれー?』と周りがうるさいので、大きな声で聞いていたら、始めは後で教えてあげる、とか言ってたけど、そのうちしつこく大声で聞くあたしから離れて行ってしまいました。
『あーたお母さんから離れたら迷子になっちゃうわよ』と言うと。『一人で帰れる!』だって。
あたしが直ぐ分かったのは、水滴みたいにそっくりの双子の兄弟だけでした。