開けゴマの日

毎年恒例の『遺産の日』がこの週末ありました。
ヨーロッパ中で行なわれている大イヴェントで、普段は開かずの間が公開されたり、普段から有料で公開しているけど、無料で入れたりする文化的な日です。
一番人気はもちろん今年も大統領官邸のエリゼ宮殿。
すっかり人気が落っこちたオランド大統領は、パートナーのヴァレリーさんと行列している市民の前に出てきてサインをしたりして愛想を振りまいたり、『ここエリゼ宮殿はフランス国民皆さんの物です。私はただの間借り人ですから。』なんて卑屈な感じでご機嫌とりしたりと必死のぱっちな戦略にでました。
私は日曜日の午後、しなくてはいけない細かい事を無視して天気の良いのに誘われて、『サイエンスとアートの知られざる所巡り』というのに行って見ました。
集合場所はパリ5区のエコールノーマル。秀才学校です。フランス革命後、それまで先生と言えば坊さんだったのを、無宗教のノーマルな教えをする教師を育てようとできた学校です。だからエコールノーマルという名前になったそうです。
日曜日だと言うのに、学校の中庭の木陰で穏やかに討論している学生達があっちにもこっちにも。
 
 
 
 
この地区はカルチェラタンという学生街でフランス中から、いや世界中からも集まる学生達の秀才学校が固まっています。
テーマ通りパストゥールやキュリー夫妻関係のそのような学校などを廻りながら長い長い説明を聞いてきました。
パストゥールさんの顔。
相当な嫌われ者だったらしいんですが、ともかく、予防接種やら狂犬病ワクチンを発見したすんごい人です。
パストゥールさんの机。
今は哲学科の教授がこのパストゥールさんの由緒あるフィスを使っているそうです。
電話以外は当時のまんまと言っていました。
ピエールとマリー キュリーキャンパス内にあるキュリー夫妻の銅像。
ご存知ラジウムを発見して、放射能という名前の名付け親。
全く欲の無い2人は人類に役立つ発見をしたと言うのにずっと貧乏で、旦那のピエールさんにいたっては、深く考え事をしながら歩いていて荷馬車に轢かれて即死してしまいました。まだ40代の若さです。
 
残された奥さんのマリーさんがソルボンヌでピエールさんが受け持っていた授業を引き継ぎました。
説明してくれた人は、あんなやかましい音をたてる荷馬車にも気づかなかったなんて、いったい何を考えていたんだろう、と想像逞しくしていました。
テーマ柄、爺さんの参加者が殆どです。アートとも銘打っていたので奥さんも付いて来ましたが。話はサイエンスばかり。それにしてもいつも思うのですが、物知りフランス人の多い事。説明してくれた人もサイエンスの人なのに年代や歴史がスラスラ出てきます。それを聞いている爺さん達も負けてはいません。イヤその人はエコールポリテクニックの出身だよと出身校を訂正したり、書いた本の名前などをポンポン出したりします。

身に染み込んだ教養って物を持っている人がそこらにゴロゴロ転がっているという感じです。
でれでれ付いて廻っていて、気がつくと既に3時間経っていました。慌ててグループから離れて家へ向いましたが、まだまだ終わる気配はありませんでした。