巴里の日本

『夏休みに行った所』と、嘘八百のブログの中にも載せた日本の写真。ここはブーローニュビランクールという地下鉄で行けるパリ郊外にあるアルベール カーン美術館のお庭です。
ヨーロッパで、なんやら財団
と名がついて、私邸を美術館にして個人のコレクションを公開しているようなとんでもないお金持ちは、19世紀に銀行家として財を成した人達が殆どです。
アルベール カーンもその一人、ウハウハの銀行家でした。
 
 
1800年代に世界中を旅行しまくって、日本へも2回行きました。そして言いました。
私は何処の国も好きだが、日本だけは特別大好き!とまるでイエローフィーバーにかかった様に日本にぞっこんになりました。特にお気に召したのが、草木に囲まれて、物静かに穏やかに生きている日本人の生活様式。
大銀行家のカーンさんが旅行すると言う事は、大名行列の如く大げさなことになります。
天皇陛下だって知らんふりする訳にもいかんだろうと、金杯を3つもプレゼントしたし、大隈重信なんかと収まっている写真も一杯あります。
そんな人が欲しいと思ったら何でも手に入れます。先ず、いくつか日本家屋を持って帰りました。有名な大工と庭師付きです。
そして自分ちの庭の一部を日本庭園にしました。
上手く出来上がったので、勢いついて近所の有名女子校のお庭にも日本庭園を造って上げました。校庭に日本庭園なんてありがた迷惑だったんじゃないかと、21世紀の今あたしが案じています。
 
 
 
現在見られるお庭は当時の跡形もなく1989年に庭師タカノ フミアキさんにより造り直されました。県議会とムッシュ村田という謎の紳士の寄付で改造工事は賄われたそうです。
 
感心している証拠に口を開けて上を見上げていたら、あらまぁ!屋根は瓦模様のビニールでできていました。今ではふんだんに使える財政状態ではないだろうから、全くいいアイディアです。上手いもんだともう一度感心しました。
 
 
私が一番気に入った場所。
庭を流れている水の終点です。
この黒い小石に金を散りばめた球状の所を水はクルクル廻りながら消えていきます。アルベール カーンの死を起草する場所でもあります。しかし、いったん消えた水はポンプによる吸水システムで再び滝に戻り流れを繰り返します。
仏教の考えのシンボル再生を表しているそうです。
お庭の一番奥にあるので、ひっそりとしていて、いわれを知らないで見ていたのに神秘と清さを感じました。長居してしまう不思議な所です。
桜や楓の木があるので、紅葉やお花見に季節季節に日本を感じに行きましょう。