音楽家の脳

頭の優れた人達の集まりのアカデミーの会員やノーベル賞を受賞した人達の趣味は楽器演奏、というのが凡人の3倍近いという話を聞きました。確かに一流の音楽家はせめて秀才、あわよくば天才です。音楽というのはアホには取り組めない代物なのだな、と、心底思った時がありました。10歳前からミュージシャンのプロ目指して本気で毎日練習していた人はアルツハイマーにならない!なんて断言も聞きました。そーだよな、毎日あんなに頭と神経を使って鍛錬されたら、そうそう壊れることは無いだろうと私も大きく頷いていたものです。
何度もブログに登場したロシア人の元チェリスト。パリの私の厄介なお母さんのような存在なので、定期的に会いに行きます。何かと忙しかったので数か月ぶりに、”会いに行くわ”と電話をすると、「それなら、今からお風呂に入るから1時間40分後に来るように、あたしゃ、一人暮らしでお風呂に入ってころりといったらどうにもこうにもならないのだから、誰か来ることが分かっていれば安心してお風呂に入れる。」とのことです。はい分かりました、では後程と、電話を切ろうとしても、強風の中の風車のごとくの一方的なおしゃべりは止まりません。「後でゆっくり聞くから、ちゃっちゃとお風呂入って頂戴な」というと、年寄りをそんなに急かすもんじゃないわよ。とご機嫌斜め。
1時間40分後にチャイムを鳴らした時は、すっきり爽やか陽気な様子で出迎えてくれました。相変わらずの物の山を上手く避けながら椅子に落ち着き、元気だったの、どっか不都合な所とかないの?の質問も無視して、いきなりチェロのレッスンが始まりました。あの曲のこのパッサージュでは、このチェリストの指使いはこうで、あのチェリストの指使いはこうなのよ、そこであたしはね。。。。。。。。。とーとーと歌いながら架空のチェロを弾いています。とうとう来たか!とうろたえる私。家系的にかなり神経過敏な血筋、いつとっ散らかってもおかしくありません。それにしても驚異的な記憶力です。直ぐに救急車を呼べるように携帯を握りしめて、様子をうかがっていると,気は確かなようです。ただただ今日はチェロの気分だったのでしょう。延々3時間レッスンは続きました。
人間180回繰り返すと体に染み込んで、考えなくてもできると言います。バレリーナもピルウェットを相当数やれば、頭がクラクラしなくなるそうです。
音楽も毎日毎日の練習の積み重ねで、体が覚え、いくつになっても残っているのでしょうね。その毎日コツコツ、というのが中々凡人にはできないんですな。
はい、これで全部わかりました、完成!という事が無い音楽、勉強が簡単すぎて退屈なお子さんは是非音楽をやるべきです。絶対退屈しませんから。