前の晩帰宅したのがかなり遅かったので、その朝ゆらりと起き出した時は既に息子は出かけていました。テーブルの上に大きな封筒、そこに貼ってあるどピンクのポストイットがイヤでも目に止まりました。眉間にめいっぱいしわを寄せて見て見れば、”大大大至急のエクスプレスで今日中にこれを郵便局から送ってください、宜しくお願いします” なんであの子はいつも大大大至急ばかりなのかしら。朝の儀式をしているうちにそのことを忘れた所にSMS。”送ってくれましたか?” ”まだ” ”とても大切な事ですので、なんとか大緊急でお願いします” ”ハイハイ” 封筒をよく見れば、あのタコが!それは来年度の進学希望の学校の書類審査の為の提出書類です。場所は良く知っている所だし、そっち方向についでがあるので直接学校に持って行ったろう、と親切心が湧きました。”学校に直接持っていきます”とSMSを息子に送ると、”ありがとう、ジュ テーム 母さん”

雨降る中、学校に着きました。運良く一人の生徒が出てきたところで門が開き、ここから入っていいのかしら?と聞けば、爽やかに、ハイ どーぞお入りください、と好青年。

建物の中に入ると、あら、中はし~~~んとしています。受付の小部屋は真っ暗。受付の閉まっている時間帯などを100回確認しても、その日のその時間は開いていなければなりません。ちょっと席を外しているのかしら、と呑気に15分位は待ったのですが、イライラが立ってきました。チッ、もう郵便局から大緊急で送ろう、と入った門へ引き返したはいいが、門が開きません!どのボタンを押してもガンとして開きません!ぐるりと柵塀沿いに歩いて他の門も試してみましたが開きません!ったく、そのうち誰か来るだろうと校内に引き返しました。展示してある作品などを眺めたり、人気のない古い学校の不気味な雰囲気を面白がったりして、相変わらず能天気にしていたのですが、突然、あや!もしや今日は休日と休日の間で皆休んでいるんか??? いやいや、こういう学校は生徒はきっと何人かは来ているはずだ、現にさっき出てきた子がいたではないか。天使と悪魔の会話が頭の中でこだまします。

見える限り電気のついている教室は見当たりません。聞こえるのは、怖い場面の序奏曲のビューという風の音とその風でがたがたする窓の音だけ。どうしたもんかと、やることもないので門の所に何度が行くと、書類を持参した子達が何人もいます。閉じ込められた私の状況を聞いても、自分の書類の事で頭が一杯で私の心配は誰もしてくれません。こんなぎりぎりになって慌てて書類を持ってくるような子はほんまアホや,と自分の息子もからげて腹が立ちました。

受付の所に門の鍵を解除するボタンだろうと思われるボタンを発見したので、再び門の所に戻ると一人の女の子が、こちらの学校の方ですか?と可愛らしく聞いてきました。彼女もぎりぎりに書類を持参した子です。
閉じ込められた私の状況を聞くと、私の書類は郵送すればいいけど、マダムの事が心配です。と泣けることを言ってくれました。発見したボタンは作動せず、もう消防署に電話しようかしらと情けなく言うと、そんな必要ありませんよ。1階の右奥に事務所がありますので、そこへ行ってみては?或は地下にコピー室があってそこはいつも誰かしらいるから、そこに行ってみては?あーたよく知ってるのね、もうここの学生なの?いえ、学校見学の日に見に来たんです。
私もう1時間近くこうしているけど校内は全く人の気配がないのよ。ぐるりと2人で柵塀越しに話しながらびくともしない他の門を押したり引いたり。

最後の車用の門の所を見上げた私は、行ける!と決心しました。郵便受けや何かのちょっとしたでっぱりを上手く使えばこの柵を乗り越えられる!雨が降っているので鉄の柵はつるつるです。下では、女の子が思いっきり細い手を伸ばして、私を受け止めようとしています。私が落ちても、助けようとしちゃだダメよ。救急車を呼ぶだけで良いんだからね。さて、タンタンタッタ タンタンタッタとミッション インポシブルの曲を歌い勇気づけ、なんとなんと、ものの見事にサルの様に乗り越えました!!まだ運動神経て物が私にも残っていたようです。

 

 

書類は郵便局から送った方がいいよね、と柵塀のあっちとこっちで話していたのですが、郵便受けを見て見るとかなりの封筒が入っいたので、大丈夫だねと郵便受けに入れて帰りました。彼女の様に聡明で良い子はきっと合格することでしょう。そう願ってやみません。

その後、何事もなかったかのように予定の用事を済ませたのですが、どうもあの蓋もない郵便受けが気になって、やっぱり郵送しようと再び学校の郵便受けに戻ってみたら、もうぎっしり封筒が入っていて取り出すこともできません。

全く、ぎりぎりまでやらない子っていうのは家のタコだけじゃないんだな。