電車が動きましたと言われて、電話の相手は『??』『私、東駅の27番ホームから乗ったのですがどうも違う所に連れて行かれそうです』
クスッと笑った気配。『あっそれは車庫行きです』『キッ、誰もそんなこと言ってくれませんでした、車庫なんかに行ってる暇は無いんです、明日一番でアポがあるんですから』と泣き怒りの状態です。
『大丈夫、落ち着いてください私はずっとあなたといますから、これから車庫に連絡を入れます。係りの者がちゃんと面倒見てくれますから心配しないで、大切なことはそこを動かないでください、電車が止まっても決して降りてはいけませんよ』と何度も念を押して、一旦電話は切れました。この私の状況を把握している人がいるということで、すっかりリラックスして落ち着いた私は、何度も大丈夫ですかと電話してくる緊急係りの電話がうざったくなったぐらいです。
そして、車庫らしき所に着いてドアが開くやいなや飛び降りました。辺りは真っ暗、犬も居ません。何が係りの者が待っているだと、と不安と怒りでグルグルした頭で辺りをキョロキョロしているうちに、向こうの方でガチャリと音がして運転手が降りてきました。が、逆方向に早足で歩いて行きます。私の怒鳴り声にギョッと立ち止まった運転手は全く事情を知らされていなくて、こっちがギョッとしました。心底小心者で人がよさそうな運転手に案内されて事務所方向へ歩いていると、係りの者という人がニコニコやってきました。この係りの者という兄ちゃんが珍しく機転のきく人で、あちらこちらに電話して私の訴えを解決していってくれました。
先ず、小心者の運転手が東駅まで乗るタクシーに同乗させてもらいました。この辺りは滅法物騒なのでSNCFは従業員にタクシーを使わせるそうです。45分ぐらいで東駅に到着。受付まで連れって行って、東駅の偉い人に引き渡してくれた彼は爽やか帰っていきました。
どうーしたどーしたとニヤニヤしている駅の偉い人は、私のぶちあたっている問題をすいすいと解決してくれました。先ず、翌日朝一のTGVに切符を無料で変更してくれました。(変更不可の切符だったのに)これで朝のアポに間に合います。そして今夜泊まる所はあるの?と聞くので、もう真夜中で朝はもう直ぐと思っていた私は悲しげに首を横に振りました。すると、そばにいたスタッフにホテル取ってあげなさいと指示するではありませんか。言われたスタッフはあっちこっちに電話しはじめました。暫くしてもう結構ですと遠慮した私に、いいからいいからと優しいことこの上ありません。信じられないこんな事が起こるなんて、何で誰も確認してくれなかったのかしらと繰り返す私は、もう立派な被害者の立場になっています。
結局、駅の近くの清潔なホテルも無料で用意してくれました。

ホテルの部屋に着いて、イヤー長い一日だった、明日早いから早く寝なくちゃと思い時計を見れば、なんとまだ21時30分!!テレヴィを付けて確認しても21時30分。家に帰ろうかと思いましたがSNCFの篤い好意を無駄にしてはいけないと、ホテルでゆっくり眠らせて頂きました。

翌朝、何度もホームを確認して、駅員にも切符を見せて確認したら、チッ、切符に裏書がしてあって、私の事情がばれてしまい、再びニヤニヤされて一体どうした訳で?聞くので、『言いたくない』とムッとして無事電車に乗り込みました。

SNCFの皆様、特に東駅の皆様、本当にありがとうございました。皆様の敏速で温厚な処理能力にはいたく感動いたしました。これでより熱くフランスが好きになりました。