フランスの大人は、人を気軽に家に招き合って夜を楽しみます。

友達で毎晩毎晩、誰かしらを家に呼んでいる変人がいます。
彼は永遠のプレーボーイで、サン ルイ島の素敵なアパートに住んでいます。いつぞや、知り合いの個展のオープニングパーティーで、何年かぶりで遭遇した彼は、『おー僕の愛しのかわいこちゃん、いったい何処に隠れていたんだい!』と背骨がボキッと鳴るほど強く抱きしめて、丁寧に判子を押すように、私のほっぺにブッチューとキスをします。まだまだムンムンギラギラ、彼は80歳はとうに過ぎています。

彼の家のゲストは殆どが世界中に散らばる昔のガールフレンド達や、その夫やその子供やその孫達です。自慢げに見せる若い頃の写真を見れば、確かにポール ニューマン似のハンサムさんだったようですが。

彼は私の知る限り働いた事はないです。そしてずっと大変優雅に生きています。

先日女友達から、《新しいボーイフレンドのお誕生日パーティーに来て!》というメールが来ました。

ケッ何?新しいボーイフレンドだと?何はともあれ、確認に行かねばと、シャンパンやらチョコレートやらお花やらを抱えて行きました。何しろ彼女は50歳代ですからね。ついこの間まで、5年越しくらい付き合っている彼と仲良くいたのに!

delphine 012既に行ったことがある高級アパートです。ドアを入ると、オサレした若い美人お嬢さんが愛想よく迎えてくれました。あら、初めまして、と握手をしたアホな私。彼女は来客のコート預かり係に雇われた人でした。

 

 

 

飲み物を勧めてくれた上品なマダムに、恐れ入ります、なんて言いながら世間話を始めたアホな私。彼女は給仕係に雇われた人でした。

台所にずかずか入っていくと、スーツを着たダンディーな男性が盛り付けをしていました。あら、お手伝いしましょうか?なんて腕まくりしたアホな私。彼は調理人として雇われた人でした。

もう一人、来客が行儀知らずにその辺に置きっぱなしにする、グラスやお皿や灰皿などを、片っ端から片付ける係りの人もいました。

自宅のお誕生日パーティーに4人もの人を雇った訳です。

こういう世界の人々を上層部という意味を込めてグラタンという呼び方があります。

決して、珍しい稀なグループではないという所がフランスの頼もしい底力です。
そして、評判を裏切らずやっぱりアムールの国なんですわ。