映画の座頭市の姿で私の想像画は一杯のはずなのに、モグラの黒眼鏡をしていると思い込んでいた私。
『やーこんにちわ』 と時間ぴったりに診察室のドアを開けた座頭市は、普通の人が自分の足のつま先を眺めている姿です。黒眼鏡も棒切れも持っていません。しかし動きはスティーヴィー ワンダーなので完全に盲目のようです。
と座頭市に気を取られていた私は、部屋の片隅にある黒い塊に気がつきませんでした。

診察台に腰掛けて横を見ると,なんと! 私が尊敬して止まない盲導犬がいました。もう息がすっと止まるほどの感動、感激です。

カラスのように真っ黒なラブラドール、3歳のグラニーさんです。毎日の通勤でかなりストレスがかかるのか、昼間は頼むから気を休ませてくれ、ってな様子で、前足で耳を押さえて頭を抱え込んでいます。見ざる言わざる聞かざる体勢です。『グラニーさんこんにちわ』 と挨拶しても知らん顔。もしかしたら盲目のご主人に仕える、つんぼの犬かしらと思ったぐらいです。

私は、いろんなことにリタイアしたら、定年になった盲導犬のお母さんになるのが夢です。もうこの座頭市の腕がどうであろうと、ずっとずっとここに通う事に決めました。
とは言っても今のところ座頭市に対してなんの不満もありません。手が異常に熱いので気持ちいいし、パンツの事を気にかけなくていいのも大いにグッドです。

キネでは、足だ、腰だが問題の私はいつもパンツ姿をさらさなければなりません。あまりセクシーなパンツを穿いていたら、良からぬことを引き起こしそうだし、おばばパンツなんかイヤだし、と清潔できちんとした素敵なパンツをと気を使わなければなりません。しかし、座頭市ならばそんな気遣いも無用、気が楽です。難を言うならば、くだらん事でも大変受けがよく、大笑いしてくれるんですがその声が大きいのなんの。座頭市が笑うたびにぎょっとさせられます。

最低でもキネには週に2回通うのが理想です。しかし、私と座頭市のスケジュールが上手く合わずなかなかグラニーさんに会いに行けません。
毎日会いたいグラニーさん!!!まだ一度も顔を見たことが無いんです。