パリの年間イヴェントの中でもモンマルトル葡萄収穫祭はダントツ人気なので、モンマルトルの丘の斜面にブドウ畑があって、モンマルトルワインが生産されている事はもはや猫でも知っている事と思います。

 

 

 

しかし同じパリ18区内の病院のお庭にもブドウ畑がちんまりあってワインを生産しているのをご存知の方はあまりいないのではないでしょうか。
お祭りの間、予約すればガイド付きで見学させてくれます。早速予約をして、歩いた事がない住宅街を物珍しそうにキョロキョロしながら病院へ向かいました。

小ざっぱりした最新らしき自動ドアを入って、あれ?ここは病院くさくない。匂いも色合いも空気も音も。
受付のおばちゃん達も普通の格好です。早足で歩く看護婦さんの制服姿も見当たりません。悲しそうな病人も椅子に座っていません。
葡萄畑見学は廊下の突き当たりを右に行けばお庭に出られるから。と言われて廊下を歩いてみると、小物を売っているブティックやすっきりしたキャフェ、ヘアーサロン、アトリエなどが並んでいます。

 

 

 

素敵な病院なんだなと感心して葡萄畑見学に加わりました。

本当に小さい畑ですが、シャンパン地方にもいたし、ブルゴーニュの有名な畑にもいた立派な専門家がお世話をしています。
今年は、かなりいい葡萄ができました。期待に胸を膨らませていたのですが、あっという間に全部鳥に食べられてしまいました。だとさ。
ワインを作る葡萄は熟して数日した物を収穫するそうです。ところが鳥は熟すや否ややって来て食べてしまうそうです。実が熟すまでは傍にも寄らないくせにです。

見学の最後は試飲です。ボンとコルクを抜くとポワンと葡萄の甘く丸い感じの香りがして、一番近くにいた私は、『いい香り』と言うと、そーお?まぁもう少し寝かせた方が良いんだけどねーとかなんとかゴニョゴニョ。飲んでみると、不味い!もう一つ何かが違うとお酢です。ブルッとしてグラスを返しました。

 

 

 

 

そうこうしていると、スーと車椅子の行列がお庭に出てきました。かなりのお年寄りですが皆さんきちんと皮の靴をはいて身奇麗です。決してジャージやパジャマみたいな此の世の終わりみたいな格好はしていません。
車椅子を押しているマダム達はボランティアの方達だそうです。
最後に車椅子を押して登場したのが、昔の映画にでも出てきそうな格好いいシスターです。
頭に被っているスカーフみたいなのの両端は耳のあたりまで外側にピンとカールして、出ている顔はぴかぴかのピンクの頬をしたお月様の様にまん丸。んんっまーと見とれて写真を撮るのも忘れました。きっと他のボランティアのマダム達はそこの教会の信者達なのでしょう。
聞いてみるとこの病院は老人病院なのだそうです。明るく、清潔で楽しそうな、いい病院。
そう言えば、フランス人は入院していてもパジャマは着ません。皆普段の洋服を着て、お化粧もしてと病人らしくしないで入院生活を耐えているのだと思います。

車椅子に座って日向ぼっこしているおばあちゃん達を見ていて思いました。、手足はかなわないけど、口は達者なこの人達を葡萄が熟したら畑のあっちこっちに配置すれば、鳥よけになるのではないでしょうか。