『会いに来てくれる』
『良いよ いつがいいの?』
『明日でも、暗くなってから、遅ければ遅い時間ほど良い、あたしは忙しいんだから』
チッ、めんどいなー、と思おうとして直ぐアッこれは暗号だった!と思い出しました。
いつぞやブログでもお話した106歳のお父さんを持っていたロシア人の元チェリストからの電話です。
お父さんが亡くなって、唯一残っている家族はロシアに住む彼女の姪だけです。その姪と遺産相続で揉めに揉めている地獄の様な最中です。
で、家にある物で持ち運びできて高価な物であるチェロをあたしに匿って置いてくれという殆ど命令みたいなお願いがあったんです。
ソ連のKGB世代の彼女は、見張られているから暗闇にまみれて持ち運びしなければならない!と考える訳です。
そしてとうとう決行の日が来たという合図の電話です。

これが重いのなんのって。
昔のチェロのケースなので拷問の如くの重さです。
ちょっとチェロに風をあたらせてあげようと思っても鍵がしっかりかかっていて開きませんでした。
このチェロは小型で非情に女性的でチャーミングです。
郊外のワンルームマンションぐらいは買える値段はします。

しばらく放っとかれている可哀想なこのチェロはいつになったら思いっきり奏でる事ができるのでしょうか?
不憫でしかたありません。

チェロはひとまず安全を確保したのですが、イヤーその後が大変でした。

つづく